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2014.01.15
認知症の人と作業療法
こんにちは。作業療法学専攻の竹田徳則です。
私は老年期障害と介護予防に関連する作業療法を専門としています。
今回は、老年期障害の認知症と作業療法について説明します。
日本の認知症の人は、
2012年には約305万人、2020年には410万人に増加すると推計されています。
これよりも多いという推計もあります。
認知症では、時間経過とともに多くの人で記憶の低下が進みます。
記憶を内容で分類すると、
生まれてから現在に至るまでに起こった出来事に関するエピソード記憶、
野菜や動物の名前など物事の共通認識としての意味記憶、
体で覚えている技能や技術の手続き記憶に大別されます。
3つのうちで、認知症で最も低下の遅いものが手続き記憶です。
手続き記憶の一例として、
平成25年12月24日の作業療法学専攻のブログに掲載した「わらじ」作りがあります。
写真は認知症の人が作られた「わらじ」です。
男性の作者は「うまく作れなくなった」と話されました。
それに対してあなたならどのような言葉をかけますか。
私は「世界に二つとない芸術作品ですね」とさりげなく対応しました。
認知症の人の作業療法では、
「できなくなった」ことを「できるようにする」のが主ではなく、
今「できる」ことや「行える」作業活動を用いるのが特徴です。
これにより認知症の人に自分にも「できる」という実感を持ってもらいます。
作業療法士は、
作業活動の場を共有し、その場の雰囲気やその人の感情を共有します。
また、活動中にその種目にまつわる思い出を話し始める人の話に耳を傾け、
認知症の人の喜びやその人が自己存在感を感じる機会を提供します。
このように認知症になっても、
豊かな生活を送ることができるように支援するのが、
作業療法士の役割です。
高齢社会の日本では、
多くの高齢者施設で作業療法士の活躍が期待されています。